都市ガス会社とは
都市ガス自由化について理解する前に、まずは日本のガス会社にはどのような種類があるのかを知っておきましょう。
日本で家庭向けにガスを供給している会社は、大きく分けると**「都市ガス会社」と「プロパンガス(LPガス)会社」の2種類**があります。それぞれガスの供給方法や料金の仕組みが異なるため、特徴を理解しておくことが大切です。
都市ガス会社とは
都市ガスは、道路の下に埋設された**ガス管(導管)**を通じて、各家庭へガスを供給する仕組みです。一度ガス管が整備されている地域であれば、24時間安定してガスを利用できます。
都市ガスを供給している会社は、東京ガスや大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなどの大手事業者をはじめ、全国で約200社あります。2017年の都市ガス自由化以降は、電力会社や通信会社なども都市ガス事業に参入し、利用者は料金やサービスを比較して契約先を選べるようになりました。
プロパンガス会社とは
一方、プロパンガス(LPガス)は、都市ガスのようにガス管を利用するのではなく、LPガスを充填したボンベを各家庭へ配送して供給します。
そのため、都市ガスの配管が整備されていない地域でも利用できるのが大きな特徴です。災害時にも復旧が比較的早いというメリットがある一方で、料金は各社が自由に設定できる「自由料金制」のため、契約する会社によってガス料金が大きく異なることがあります。
プロパンガス会社は全国に約2万社あり、地域密着型の販売店から全国展開する大手企業まで、さまざまな事業者がサービスを提供しています。
ガス会社の違いを知ることが重要
都市ガスとプロパンガスは、どちらも私たちの生活に欠かせないエネルギーですが、供給方法・料金体系・契約の仕組みは大きく異なります。
特に都市ガス自由化は「都市ガス」を利用している家庭が対象となる制度です。そのため、まずはご自宅が都市ガスなのかプロパンガスなのかを確認し、それぞれの特徴を理解したうえで契約を見直すことが、ガス代を節約する第一歩となります。
都市ガス自由化の歴史
都市ガスの自由化は、2017年4月から始まったというイメージを持つ方も多いですが、実は自由化の取り組みはそれよりも前から段階的に進められてきました。
最初に自由化の対象となったのは、1995年の工場や商業施設などの大口需要家です。その後、対象となる契約規模が徐々に拡大され、より多くの事業者が都市ガス市場へ参入できるようになりました。
そして、2017年4月1日に家庭向けを含む都市ガスの小売全面自由化がスタートします。これにより、それまで地域の都市ガス会社としか契約できなかった一般家庭でも、料金やサービス内容を比較しながら、自分に合ったガス会社を自由に選べるようになりました。
現在では、従来から都市ガスを供給してきたガス会社だけでなく、電力会社や通信会社などさまざまな企業が都市ガス事業へ参入しています。その結果、ガス料金の割引や電気とのセット契約、ポイントサービスなど、各社が独自のサービスを展開し、利用者にとって選択肢が大きく広がりました。
都市ガス自由化は、単に契約先を変更できるようになっただけではなく、利用者がよりお得で自分に合ったサービスを選べる時代への大きな転換点となったのです。
都市ガスのメリット
都市ガスが自由化になったことでどんなメリットがあるのでしょうか?
①価格競争になる
都市ガスの自由化前は供給している地域の都市ガス会社は誰にも邪魔されず独占しておりました。ガスの料金も公共料金として国で決められた金額で販売しておりましたが、自由化になると新たに都市ガスに参入してくる会社と価格競争が起き、安いガス料金を提案する会社が増え市場全体のガス価格が値下がりに繋がります。
②サービスの向上
今まではガスだけ販売していればよかったですが、他社が参入してきたりすると新しいサービスを提供しなければなりません。ガスの自由化の前から電力の自由化も行われており【ガス+電気】のセット割などの新しいサービスが続々と登場してきております。電力の自由化で参入した企業をみてみますと、インターネット・ガソリン価格・旅行ポイントなど様々なセット割があります。
③導管網の整備が進む
都市ガスは全国の家庭の約半分を供給しております。都市ガスの導管を引くには莫大な費用がかかります。人口が少ない地域では都市ガスの菅を引いても使用する家庭がなければ採算が合わないため人口の集中する都市部に集中しております。今後都市ガスの市場が拡大していくと新規顧客獲得のために都市ガスの整備が進む可能性があります。
都市ガスのデメリット
①都市部と地方の格差が広がる
都市ガスの自由化は電気の自由化と違い自由化によるサービス向上などの恩恵を受けられる人が限定的になります。人口が集中していない地域では新規参入で都市ガスの整をする会社もなくプロパンガスのままですので、新たな都市ガスのサービスが受けられません。都市部と地方ではガス価格に差が出てくる可能性があります。
②複雑なプランによる消費者困惑
ガスの自由化によって競争が行われ様々なお得なサービスが出てくるのは嬉しいことですが、都市ガスに新たに参入してくる会社は自社の得意とするプランとセット割りなどで囲い込みを図るため多くのセット割プランが登場し、どれが一番お得になるのかが消費者がわかりにくくなることが考えられます。スマホの料金プランを見てると本当にお得なのは一体どれなの?って思いますよね・・。
都市ガス自由化申し込み
都市ガス自由化の申し込みは一体どうすればいいのでしょうか?答えはネットから簡単に申し込みできます。
STEP1:インターネットで申込
都市ガス会社のWEB申込フォームより申し込みをします。
STEP2:お申込み内容の確認と都市ガス切替手続き
都市ガス供給会社が申込者の内容を確認し都市ガス切替準備をします。
STEP3:お支払い情報の登録
ガス代を支払う口座情報やクレジットカードを登録します。
STEP4:都市ガス供給開始
供給開始日はお手続きが完了した後の検針日の翌日となります。だいたい申込から供給開始までは約1~2ヶ月程度かかります
都市ガス自由化で参入した主な事業者
2017年4月の都市ガス小売全面自由化によって、家庭でも都市ガスの契約先を選べるようになりました。
現在は、従来から都市ガスを供給してきたガス会社だけでなく、電力会社や石油会社、通信・エネルギー関連企業など、さまざまな事業者が都市ガス市場に参入しています。
そのため、都市ガスを利用している家庭は、料金プランやセット割、ポイントサービスなどを比較して、自分のライフスタイルに合った会社を選べます。
ここでは、都市ガス自由化によって参入した主な事業者を紹介します。
電力会社
都市ガスの小売事業に参入している代表的な企業の一つが電力会社です。
主な事業者として、
- 東京電力エナジーパートナー
- 関西電力
- 中部電力ミライズ
- 九州電力
などがあります。
電力会社の都市ガスプランでは、電気とガスをまとめて契約することで割引を受けられるセットプランが用意されている場合があります。
たとえば東京電力エナジーパートナーでは、関東をはじめ中部・関西・九州などの一部エリアで都市ガスプランを提供しています。対象の電気料金プランと組み合わせることで、ガスセット割を利用できるプランもあります。
電気も同じ会社で契約している家庭なら、電気とガスをまとめて料金を比較すると、家計全体の見直しにつながる可能性があります。
ただし、セット割だけで判断するのはおすすめできません。
基本料金や従量料金、原料費調整額などを含めて、現在の契約と比較することが大切です。
石油会社
石油会社も都市ガス市場に参入しています。
代表的な企業がENEOSです。
ENEOSは「ENEOS都市ガス」を展開しており、電気とのセット契約など、エネルギー関連サービスをまとめて利用できるプランを提供しています。
ガソリンや電気など、普段から利用しているサービスとの組み合わせによってメリットが変わるため、都市ガス単体の料金だけでなく、家庭で利用しているサービス全体で比較することがポイントです。
ガス会社・LPガス会社
都市ガス自由化では、従来からガス事業を行ってきた会社やLPガス会社も都市ガスの小売事業に参入しています。
代表的な事業者には、
- 東京ガス
- 大阪ガス
- 日本瓦斯(ニチガス)
- サイサン
- 河原実業
- 東彩ガス
などがあります。
ガス会社の中には、料金プランだけでなく、給湯器やガスコンロなどのガス機器に関するサービスを提供している会社もあります。
そのため、ガス料金だけでなく、ガス機器の修理や交換など、契約後のサポートまで確認しておくと安心です。
その他の企業
都市ガス自由化によって、エネルギー業界以外からもさまざまな企業が都市ガス市場へ参入しています。
代表例としては、
- HTBエナジー
- イーレックス
などがあります。
こうした事業者では、電気や通信、ポイントなど、本業のサービスと都市ガスを組み合わせた料金プランが用意されている場合があります。
普段利用しているサービスがある場合は、都市ガスとのセット契約によってどの程度メリットがあるのか確認してみましょう。
都市ガス会社を選ぶときは料金だけで比較しない
都市ガス自由化によって選択肢が増えた一方で、「一番安い会社を選べばいい」とは限りません。
都市ガスの料金は、基本料金と従量料金だけでなく、原料費調整額や割引条件などによって実際の請求額が変わる場合があります。
また、電気とのセット割やポイント還元なども会社によって条件が異なります。
都市ガス会社を比較するときは、次の項目を確認しましょう。
| 比較するポイント | 確認したい内容 |
|---|---|
| 基本料金 | 毎月固定でかかる料金 |
| 従量料金 | ガス使用量に応じてかかる料金 |
| 原料費調整額 | 原料価格によって変動する料金 |
| セット割 | 電気などとまとめた場合の割引 |
| ポイント | 還元率や利用条件 |
| 解約条件 | 契約期間や解約金の有無 |
| サポート | ガス機器やトラブル時の対応 |
特に注意したいのが、「○%安くなる」という表示だけで判断しないことです。
たとえば東京電力エナジーパートナーの都市ガスプランでは、東京ガスの一般料金より約3%安いと案内されていますが、原料費調整額などを含めると、実際の料金差が同じになるとは限らないと説明されています。
そのため、都市ガス会社を変更するときは、現在の使用量をもとに年間のガス料金をシミュレーションして比較するのがおすすめです。
「基本料金が安い」「セット割がある」といった一部分だけを見るのではなく、1年間に支払う総額で比較すると、自分に合った都市ガス会社を選びやすくなります。
都市ガス会社は自分の地域で利用できるか確認しよう
もう一つ重要なのが、希望する都市ガス会社のサービスエリアに自宅が含まれているかです。
都市ガスの小売自由化によって契約先は選べるようになりましたが、すべての都市ガス会社を全国どこでも利用できるわけではありません。
そのため、都市ガス会社を比較するときは、
- 自宅が対象エリアか確認する
- 現在のガス使用量を確認する
- 基本料金と従量料金を比較する
- セット割やポイントを確認する
- 年間の支払額をシミュレーションする
という順番で検討するとよいでしょう。
都市ガス自由化のメリットを活かすには、会社名や割引率だけで決めず、自分の使用量とライフスタイルに合った料金プランを選ぶことが大切です。
都市ガス自由化で契約を見直す家庭が増加
2017年4月に都市ガスの小売全面自由化がスタートし、家庭でもガス会社や料金プランを自由に選べるようになりました。それまで地域ごとに決められた都市ガス会社と契約するのが一般的でしたが、現在では電力会社や新規参入事業者など、多くの会社が都市ガスの販売を行っています。自由化以降は契約の切り替え(スイッチング)が着実に増えており、2024年末時点の累積スイッチング件数は約618万件に達しています。また、新規参入事業者による都市ガス販売量のシェアも**20.7%**まで拡大しており、多くの家庭や事業者が料金やサービスを比較して契約先を選ぶ時代になっています。都市ガスへ切り替えられる地域にお住まいであれば、プロパンガスから都市ガスへ変更することでガス料金を抑えられる可能性があります。まずは、お住まいの地域が都市ガスの供給エリアかどうかを確認し、工事費用やランニングコストを比較したうえで検討するとよいでしょう。
今後の都市ガス自由化について
電気の自由化と違い参入の障壁が高く、都市ガスへの参入とスイッチング率もまだまだ少ない状況です。それでも毎年新たに都市ガス事業に参入してくる会社は多いです。今後も徐々にスイッチング率が高まってくると都市ガス会社は消費者にとってメリットある料金体系や新しいサービスを次々と出してくると思われます。電気・ガスの全面自由化によりエネルギーを消費者が選ぶ時代となり企業同士の競争は激しくなりましたが、私たち消費者にとってはメリットがあります。
まとめ
都市ガスが全面自由化になって新しい企業が参入し、競争が高まってきているのは事実です。今後はますます多彩なサービスを提供する会社が増えてくると思います。都市ガスや電気を切替したとしても安全性は今までと全く変わりません。支払い先が変更になるイメージです。国がせっかく全面自由化をさせたのですがその恩恵を受けるのが賢い選択だと思います。ご自宅にあったガスプランを選んでみてくださいね。









